配偶者ビザ取得に必要な収入は?

投稿:2025年4月20日お知らせ , 配偶者ビザ

配偶者ビザ審査において、交際歴と並び重要視されるのが「収入面」、つまり日本で安定した生活を送るための経済的基盤があるかどうかです。「年収は最低いくら必要?」「アルバイトやパートだと不利になる?」「転職したばかりだけど、どう証明すればいい?」など、収入に関する疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、配偶者ビザ審査における収入要件や収入面で不安要素がある場合に押さえておくべきポイントと対策を入管業務を専門とする行政書士が分かりやすく解説します。

配偶者ビザ取得における収入の基準と考え方

配偶者ビザの審査において、収入は重要な審査項目のひとつです。これは、申請人(外国人配偶者)が日本において生活保護などの公的な負担とならず、夫婦が独立して安定した生活を送れるかどうか、その経済的な基盤がチェックされるためです。単に収入額だけでなく、その収入が「安定的かつ継続的」であるかどうかも審査のポイントとなります。

審査基準となる年収はいくらから?

配偶者ビザの審査において明確な年収の基準はありません。しかし一般的には、日本で夫婦が共に生活していく上で、社会通念上、十分と認められる収入があることが求められます。

収入の考え方の一つの目安として、国民年金の基準額(年額約80万円/一人当たり)が挙げられます。扶養人数によって単純計算で子供のいない夫婦で160万円、子供が一人いる場合は240万円となります。重要なのは、これらはあくまで目安であり、絶対的な基準ではないということです。実際には、目安とされる収入を下回っていても許可されるケースもあれば、上回っていても不許可となるケースもあります。なぜなら、夫婦が安定して生活するために必要な金額は、個々の状況によって大きく異なるからです。

例えば、都心で家賃の高い賃貸物件に住む場合と、地方で親所有の持ち家に家賃負担なく同居する場合とでは、同じ年収でも生活の安定生は全く異なります。このように、家賃(家賃負担の有無)、その他の資産状況、具体的な生活実態などを総合的に考慮し、提出された資料に基づいて「この夫婦は日本で安定して生活していけるか」を入管が個別に判断します。

さらに、収入額と同等、あるいはそれ以上に重要視されるのが「住民税をきちんと納めているか」という点です。収入証明として提出する住民税の課税証明書の他に、住民税の納税証明書で、納税状況が確認されます。たとえ収入が高くても、税金の滞納があると、公的義務を果たしていないとみなされ、許可を得るのは非常に困難となります。

外国人配偶者の収入は合算される?

外国人配偶者自身に収入がある場合、その収入も世帯の生計維持能力として考慮されます。具体的には、既に日本で「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能なビザを持っており、結婚後も引き続き就労する場合などです。

このような場合、夫婦それぞれの収入を合算し、世帯収入として生計維持能力を証明することが可能です。例えば、日本人配偶者の収入だけでは目安に満たない場合でも、外国人配偶者にも安定した収入があれば、世帯全体としては十分に生活できると判断されます。

ただし、外国人配偶者が海外に居住している場合や、就労が認められていない「短期滞在」や資格外活動許可のない「留学」などビザの場合は、その時点での収入を直接合算することは原則として難しいです。しかし、外国人配偶者が就職先から内定を得ている場合などはその見込みを具体的に説明することで、将来の安定性を示す材料になります。

収入が原因で配偶者ビザの取得が難しくなるケースと対策

配偶者ビザが不許可となる理由の中でも、収入に関する問題は少なくありません。ここでは、収入が原因で取得が難しくなる代表的なケースと、その対策について解説します。

無職の場合

申請時、夫婦(主に扶養者となる側)が無職である場合、生活の安定性の証明が非常に難しく、審査は厳しくなります。対策としては、まず就職先を見つけ、内定通知書や雇用契約書など、安定した収入の見込みがあることを客観的に証明できる書類を準備した上で申請することです。入社直後でまだ給与を受け取っていなくても、雇用契約書等で雇用条件(給与額、雇用期間など)が明確であれば、将来的な収入見通しを示すことで、生活の安定性を証明することができます。

すぐに就職が決まらない場合でも、当面の生活費を十分に賄えるだけの預貯金があることを証明できれば、許可の可能性はゼロではありません。ただし、貯蓄はあくまで一時的なものであり、それだけで継続的な生活の安定性が認められるわけではありません。そのため、具体的な就職活動の計画や、将来の生活設計(例:日本にいる親族からの経済的援助など)を理由書で詳細に説明する必要があります。

親族からの援助を受ける場合は、援助する側の資力証明(課税証明書、在職証明書など)や、具体的な援助内容・期間なども書面として提出することが効果的です。

仕事がアルバイト・パートの場合

扶養する側(主に日本人配偶者)の仕事がアルバイトやパートである場合、正社員と比較して、雇用期間が定められていたり、労働時間や日数によって収入が変動したりするため、収入が不安定とみなされやすい傾向があります。しかし、アルバイト・パートだからといって、直ちに不許可になるわけではありません。以下の点を証明することで、許可の可能性は十分にあります。

まず、現在の収入で生活を維持できることを示すために、家計収支表を作成し、収入の範囲内で十分に生活が可能であることを具体的に説明する必要があります。例えば、実家で暮らしており家賃負担がない、親から食費などの援助を受けているといった、生活コストを低く抑えられている状況を説明することも効果的です。

これらの証明書類に加え、なぜアルバイトやパートという働き方を選んでいるのか、例えば育児や介護との両立、資格取得に向けた準備期間、あるいは健康上の理由など、個々の事情を明確に伝えた上で今後の収入見込みや、将来的な正社員登用の可能性などについても言及すると将来的な生活の安定性をより説得力をもって説明することができます。

就職・転職をしてすぐの場合

扶養する側が就職または転職して間もない場合、収入証明として提出する「住民税の課税証明書」には前年の所得しか記載されていないため、現在の収入状況が反映されません。この状態で課税証明書だけを提出すると、申請書に記載した現在の職業や収入と矛盾が生じ、入管に疑念を抱かれたり、収入が不安定と判断されたりする可能性があります。

現在の収入状況を証明するための対策として、「雇用契約書」または「採用内定通知書」、既に入社している場合は「在職証明書」などを提出します。既に給与を受け取っている場合には、直近数ヶ月分の「給与明細書」コピーも合わせて提出することでより説得力ある形で証明することができます。

海外から日本へ生活拠点を移す場合

夫婦ともに海外で生活・就労しており、これから一緒に日本へ移住して生活を始めるケースです。この場合、申請時点で日本人配偶者も海外に居住している為、直近の住民税の課税証明書・納税証明書が提出できないことが一般的です。代わりに日本での将来的な収入見込みを別の形で証明する必要があります。

日本での就職先が未定の場合

海外の会社を退職し日本に帰国してから就職活動をする場合では、申請時点で日本での収入見込みが立っていないため、生活の安定性の証明が難しく、審査は慎重に行われます。この場合、まず当面の生活費を十分に賄えるだけの預貯金があることを証明します。目安として最低でも半年から1年程度の生活費に相当する金額の預金通帳のコピーが必要です。

また、将来的な生活の安定性を説明する点から、これまでの職務経歴や保有資格を明示した上で、日本での具体的な就職活動の状況、例えば応募先や面接予定などを説明し、早期に就職できる見込みが高いことを示す必要があります。日本にいる両親などから一時的な経済的援助(一時的な同居や就職までの生活費援助など)が見込めるのであれば、身元保証人になってもらった上で説明することも審査において有効な補強材料となります。

海外駐在から帰国し、引き続き同じ(または関連)会社で働く場合

この場合は、日本での収入が継続・確定しているため、生活の安定性が問題となることはありません。住民税の課税・納税証明書は発行されませんが、勤務先発行の異動通知書や在職証明書で代用可能です。

このページのまとめ

配偶者ビザ申請において収入面に不安要素(無職、アルバイト、転職直後、海外からの移住など)がある場合、申請書の年収記載や住民税の課税証明書といった通常必要となる提出書類だけでは現在の収入状況や将来的な生活の安定性を十分に証明できない場合があります。

そのような状況を補強するため、必須書類の提出だけではなく個々の状況に応じた任意資料(雇用契約書、給与明細、預貯金残高証明書、家計収支表など)を準備した上で、夫婦が日本で安定的に生活を送れることを説明していくことが配偶者ビザ取得に求められます。 

当事務所では、国際結婚夫婦の入管への配偶者ビザ申請をサポートしております。配偶者ビザ申請でお困りの方は、まずは一度ご相談ください。

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