年齢差のある夫婦の配偶者ビザ申請における注意点と対策

投稿:2025年4月23日お知らせ , 配偶者ビザ

「結婚において、年の差なんて関係ない」そう考えるのはごく自然なことです。実際に日本で年の差夫婦は珍しい形ではありません。しかし、配偶者ビザの審査においては、夫婦の10歳以上の年齢差は「偽装結婚」を疑われる要因の一つとなり、慎重に審査が行われている現実があります。

この記事では、年齢差のある夫婦が配偶者ビザを申請する際に押さえておくべきポイントと対策を入管業務を専門とする行政書士が分かりやすく解説します。

年齢差がある場合の配偶者ビザ審査と許可の可能性

配偶者ビザの審査では、年齢差が大きい夫婦の申請に対して交際歴が慎重に審査されます。特に年齢差が10歳以上ある場合には、日本への入国や就労を目的とした偽装結婚ではないかという疑念を入管から持たれやすくなります。実際に、年齢差が大きければ大きいほど、婚姻の信憑性の判断が慎重に行われ、不許可率が高まる傾向にあります。

しかし、年齢差が大きいという事実だけで不許可となるわけではありません。客観的な証拠をもって、交際履歴や夫婦の関係性を十分に証明できれば、配偶者ビザが許可される可能性は十分にあります。許可を得るためには、出会いから結婚に至る経緯、交際期間中のコミュニケーションの状況(使用言語や頻度など)、経済的な基盤、同居の実態といった点について、より詳細な説明や客観的な証拠資料の提出が求められます。

なぜ年齢差がある夫婦の配偶者ビザ申請は難しいのか?

入管が年齢差のある夫婦の配偶者ビザ審査に特に慎重になる背景には、入管が把握している過去の偽装結婚に年齢差が大きい偽装夫婦のケースが多かった点にあります。これには外国人申請者が日本での就労や永住を目的とし、夫婦としての実体を伴わない形式的な結婚で就労制限のない配偶者ビザを取得していたというケースが該当します。日本人側は対価として報酬を受け取っており、入管が定める真摯な婚姻とは正反対のものです。

そのため、配偶者ビザの審査において年齢差が大きい場合、真の愛情に基づいた結婚なのか、それとも偽装結婚なのかという点がより慎重に確認されます。この疑念を払拭していくため、交際履歴や愛情の繋がりを客観的な資料をもって丁寧に証明していくことが年齢差がある場合の配偶者ビザ申請では必須となります。

年齢差がある場合の注意点と対策

年齢差のある夫婦の配偶者ビザ申請では、婚姻の信憑性が慎重に審査されます。特に交際経緯の詳細な説明や、時系列・関係性が分かる写真、SNS・通話履歴の提出が重要です。加えて、同居の有無、家族の理解、共通言語での意思疎通、安定した収入、外国人配偶者の過去の在留歴も確認されます。配偶者ビザ取得には、下記で紹介する証明書類の提出や丁寧な説明が求められます。

交際経緯の説明

年齢差がある夫婦で注意すべき事として、交際経緯などについてより詳細な説明が求められる点があります。例えば、結婚相談所や個人の紹介者を通じて婚姻した場合、その紹介元の信頼性も確認されます。過去に偽装結婚への関与が疑われるなど、仲介者として違法、あるいは不適切な斡旋履歴が認められれば、配偶者ビザが不許可となるリスクが高まります。

また、「数回会っただけで結婚した」「交際期間が数ヶ月しかない」といった極端に短い交際期間は、偽装結婚を疑われる典型的な要因の一つです。もし交際期間の短さや交際の客観的な証拠が少ないことに不安がある場合は、焦って申請手続きを進めるのではなく、写真やメール・SNSのやり取り、通話記録など、交際の「履歴」をしっかりと積み重ねてから申請することも選択肢として有効です。

交際写真の有無

年齢差のある夫婦の場合、頻繁に写真を撮影をする習慣がないこともあるかもしれません。しかし、配偶者ビザの審査においては、交際から婚姻、そして現在に至るまでの二人の関係を示す写真は非常に重要な証明となります。年齢差のある夫婦の場合はなおさらです。写真を撮る習慣がないことを入管へ説明したとしても、写真を提出できない理由として考慮されることはありません。

もし、現時点で提出できる写真が少ない場合でも、これから申請準備を進める期間に、意識して二人の写真を撮りためていくことが大切です。そうすることで、交際が継続している確かな実績を示す証拠となりますので、今からでも積極的に写真を残していくようにしましょう。

写真は必ず夫婦で一緒に写った写真を選び、次のポイントに気を付けます。

SNSアプリのメッセージ記録・通話履歴の有無

夫婦の一方が年長者の場合、SNSアプリを使い慣れておらず、通話を主な連絡手段にしていたというケースがあります。その場合は、通話履歴のスクリーンショットなどの記録を提出します。実際に会った回数が2~3回だけにも関わらず、メッセージ・通話履歴が提出できない場合は婚姻の信憑性について疑義をもたれ配偶者ビザの取得は難しいものとなります。特に海外から外国人配偶者を呼ぶ場合では、会えなかった期間どのように連絡を取り合っていたかが婚姻の信憑性を判断する上で重視されます。

同居の有無

同居(予定)の有無は、今回の婚姻が真実のものであり実際に夫婦生活を送ることの重要な証明となります。年齢差のある夫婦の場合、愛情の有無に関わらず生活スタイルの違いから、別居や半別居をされる方も少数ながらいます。合理的な理由による別居であれば、配偶者ビザの更新に限りこれまでの夫婦生活の実績を考慮され許可が下りる可能性もあります。ただし、初回の配偶者ビザ申請では、最初から別居前提の場合には通常より厳しい審査となります。

結婚に対する家族の反応を理由書に記載

年齢差がある結婚の場合、両親が高齢であるケースや家族に言い出しにくいこともあるかもしれません。ただし、配偶者ビザ審査では、家族が結婚の事実を知っているかという点も判断基準の一つとなっています。偽装結婚の場合は家族や親族に結婚の事実を伝えないことが多いためです。家族や親族が今回の結婚に対してどう思っているのか?年齢差結婚に対する周囲の反応や婚姻の同意を理由書で説明することで婚姻の信憑性における説得力が増します。

夫婦の共通言語、コミュニケーション手段

年齢差のある夫婦の場合、年齢差のある夫婦がなぜ交際から結婚に至ったのかという経緯がより詳細に確認されます。愛情を育む中で夫婦がどのように意思疎通をして、共通の理解を深めてきたのかという点は、入管が婚姻の信憑性を判断する重要な手がかりとなります。

具体的には、共通言語の有無と共通言語の習熟度が審査対象となります。 例えば、日本人配偶者が日本語しか話せず、外国人配偶者が全く日本語を理解できない場合、日常生活においてどのようにコミュニケーションを取っているのか、夫婦関係をどのように成り立たせているのか審査において疑義が持たれるでしょう。 単に「愛情があれば言葉は通じる」といった説明だけでは入管は納得しません。審査上、どちらか一方が相手の言語をある程度理解しているかまたは英語などの共通言語でコミュニケーションがとれていることが望ましいです。

翻訳アプリや通訳者がいる場合でも、夫婦生活において絶えずアプリや通訳者を介して会話するというのは現実的ではありません。配偶者ビザの審査においても、翻訳アプリや通訳者に頼りきりのコミュニケーションだけでは、実際の夫婦生活を成り立たせる上で十分ではないと考えられています。そのため、もしお互いの言語での直接的な意思疎通が難しい場合には、「具体的にどのように日々のコミュニケーションをとっているのか」、また「互いの言語を学び合っている状況や、共通の理解を深めるためにどのような努力をしているか」といった点を、丁寧に説明することが重要です。

定期的な収入の有無

配偶者ビザの審査において、収入は交際経緯などと合わせて重要な審査ポイントの一つです。収入には、会社からの給与や自営業による事業所得のほか、年金収入も含まれます。夫婦の合算収入で判断されるため、一方が専業主婦(夫)であっても、もう一方に十分な収入があれば問題ありません。収入状況は、課税証明書や納税証明書、預貯金通帳の写しなどの公的書類によって具体的に証明することが求められます。

過去に見られた偽装結婚では、将来的な生活設計が全くない形式的な関係であるケースが多くありました。そのため、確かな収入の見通しがあり、経済的に自立した生活を送れることを示すことは、偽装結婚ではないことを証明する要素の一つとなります。

外国人配偶者の過去の在留歴

外国人配偶者の過去の在留歴も審査対象の一つです。不法滞在(オーバーステイ)、資格外活動、虚偽申請、犯罪歴などが外国人配偶者の過去の在留歴に見られる場合、審査上の年齢差によるマイナス要因と相まって、より慎重な審査が行われます。

過去の在留歴については、過去の申請と矛盾がないように隠さずに記載する必要があります。配偶者ビザ申請と入管が把握している過去の申請歴に矛盾が見つかった場合、たとえ真実の婚姻であったとしても記載内容の矛盾という点のみをもって不許可となる可能性が高いので注意が必要です。

まとめ

年齢差のある夫婦の配偶者ビザ申請は、偽装結婚を疑われやすく慎重な審査が行われます。特に10歳以上の年齢差があると、入管は交際歴、収入、過去の在留歴などから婚姻の信憑性をより細かく確認する傾向があります。しかし、たとえ年齢差があったとしても、交際経緯や今後の生活設計などを具体的に証明・説明することで配偶者ビザは十分に取得可能です。

当事務所では、年齢差のある国際結婚夫婦の配偶者ビザ申請をサポートしております。配偶者ビザ申請でお困りの方は、まずは一度ご相談ください。

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入管業務専門行政書士。個人の方からのご依頼を中心に、永住許可申請をはじめ多数のビザ・在留資格申請をサポートしてきました。ビザ・在留資格でお困りのへ、当事者の気持ちに寄り添った親身な対応を心がけています。

配偶者ビザ取得に必要な収入は? 不倫関係からの配偶者ビザ申請で注意すべきポイント
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