
配偶者ビザ申請において、定期収入の有無は重要な審査ポイントの一つです。その為、申請者本人や日本人配偶者が無職である場合、配偶者ビザを取得できないのではないかと心配されるかもしれません。しかし、無職であることのみをもって直ちに配偶者ビザが不許可となるわけではありません。
この記事では、無職からの配偶者ビザ申請で押さえておくべきポイントと対策を入管業務を専門とする行政書士が分かりやすく解説します。
目次
無職でも配偶者ビザを取得できる可能性はある
無職の状態から配偶者ビザを申請する場合、夫婦が日本で安定的かつ継続的に生活を送れるかどうか、収入の証明が重要な審査ポイントとなります。収入の有無は世帯全体で判断されるため、例えば日本人配偶者が無職であっても、外国人配偶者に収入がある場合は審査上問題とはなりません。また、親族からの具体的な経済的援助が見込める場合でも要件を満たす可能性はあります。
配偶者ビザの審査では、無職であること自体が直ちに不許可に繋がるわけではなく、夫婦としての生活を維持していけるのかという点を問われます。無職という状況で入管へ何も説明をせずに配偶者ビザを申請した場合は、夫婦として生活の安定性を満たさないと評価され不許可となる可能性が高いです。
重要なのは、なぜ現在無職という状況にあるのか、そして現在どのように生計を立てているのか、あるいは今後夫婦としてどのように生活していくのかという点を、客観的な裏付け資料と合わせて入管へ説明することです。
対策
無職の状態で配偶者ビザを申請する際には、夫婦として生計を維持するための具体的な計画を丁寧に説明することが重要です。
就職先を見つける
たとえ申請時に無職であっても、すでに就職先が内定している場合は、その状況を積極的に伝えることが審査において有利に働きます。具体的には、内定通知書などの証明書類を提出するとともに、申請書の収入欄に「予定年収:〇〇〇万円(〇年〇月より就労開始予定)」のように記載したり、別途理由書で補足説明したりすることで、入管へ将来的な生活設計と安定性の見込みを説明することができます。
生計維持の見込みを示す上で、必ずしも正社員である必要はありません。もちろん、継続的で安定した収入が見込める正社員は審査上有利ですが、アルバイトやパートとして働いている場合でも、配偶者ビザが許可される可能性は十分にあります。その場合は、アルバイト・パート収入でも生活していけるという点を説明することになります。例えば実家で暮らす予定、持ち家であるなど生活費をかけずに暮らしていける点を強調し説明します。
個人事業を始める
無職の状態から個人事業を始める計画がある場合でも、収入の見通しを示すことができれば、ビザを取得できる可能性はあります。そのためには、単に「事業を始める予定」と述べるだけでなく、具体的な計画を提示し安定した収入が得られる見込みがあることを説明する必要があります。
具体的には、どのような事業を行うのか(事業内容)、必要な資金はどのように調達するのか(資金計画)、開業に向けた準備はどの程度進んでいるのかなどを示した「事業計画書」を作成・提出することが求められます。個人事業は収入が不安定な傾向があるため、計画の具体性や実現可能性が審査において重要視されます。
就職活動の経緯を説明する
海外にお住まいの外国人配偶者を日本に呼び寄せ、外国人配偶者が主に生活費を負担するようなケースでは、来日前に日本国内での就職先を確定させることが難しい状況も少なくありません。しかし、現在行っている就職活動の状況を具体的に説明し、将来日本で安定した生活を築いていく見通しを示すことで配偶者ビザを取得できる可能性もあります。
具体的には、応募している企業のリストや現在の選考状況、関心のある企業とのメールでのやり取り、オンライン面接の記録などを提出することが考えられます。これらの資料を通じて、積極的に就職活動に取り組んでいる姿勢や、将来的な収入の見込みを示すことができます。
単に「無職」として申請するのではなく、たとえ内定前であっても具体的な就職活動の状況や将来の計画を丁寧に説明し入管に対して日本での生活見込を示すことが重要です。
貯金額を提示する
貯金額について入管から具体的な基準額が示されているわけではありません。審査において重視されるのは、現在の預貯金で夫婦がどれくらいの期間日本で生活していけるのかという点です。加えて、生活費を貯金で賄う期間の間に、どのようにして定期収入を確保していく予定なのかという点を具体的に説明することが求められます。
例えば、夫婦の1年分の生活費に相当するような貯蓄があるならば、「当面はこの貯蓄を生活費に充当し、1年以内に日本で就職先を見つける予定」といった説明も可能です。
貯金額を証明するためには、銀行口座の預金通帳のコピーやインターネットバンキング取引明細のスクリーンショットなどを提出する必要があります。
親族等からの経済的支援について
日本人もしくは外国人配偶者のご両親などから、継続的に経済的な支援(仕送りなど)を受けられる見込みがあれば、その点を具体的に説明することで審査上有利に働きます。「誰が」「いつから」「どのくらいの頻度で」「どのような方法で」支援を行うのかを明確に説明します。
さらに、経済的支援を約束してくれた方の身元保証書に加え、その方の収入を証明できる書類(住民税の課税証明書や納税証明書など)を併せて提出することが求められます。
親族との同居について
日本人配偶者のご両親などと同居している、あるいは同居する予定がある場合は、家賃や光熱費などの生活費の負担が軽減されるため、これも経済的な安定性を補強する要素とみなされます。この場合は、同居する(または同居予定の)世帯全員が記載された住民票を提出することで、その事実を証明・説明できます。
まとめ
配偶者ビザの審査では、夫婦が日本で安定して生活できるかどうかが重視されます。そのため、定期的な収入があるかどうかは重要な審査ポイントです。ただし、収入がないことだけを理由に、すぐにビザが不許可になるわけではありません。
注意が必要なのは、収入がない状況について何も説明せずに申請してしまうことです。その場合、生活の安定性が欠けていると判断され、不許可になってしまう可能性が非常に高くなります。
無職であったとしても例えば、
- 就職先がすでに決まっている
- 自分で事業を始める具体的な計画がある
- 現在就職活動を進めている
- 生活に十分な貯金がある
- 親族からの経済的な援助が見込める
- 両親などと同居でき、家賃がかからない
といった状況を、客観的な資料と合わせて提出し、将来的な生活見通しを具体的に説明できれば、配偶者ビザを取得できる可能性は十分にあります。
当事務所では、収入に不安がある場合の配偶者ビザ申請をサポートしております。配偶者ビザ申請でお困りの方は、まずは一度ご相談ください。
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